30歳で私大職員に転職したkenseeです。
このサイトでは、私大職員への転職を考えている方に向けた「転職のノウハウ」や「転職までの準備」などについて、ぼくの実体験をありのままに書いています。
ぼくは日々の業務の中で、科学技術と触れ合う機会が多く、このサイトでもいくつかの「科学技術解説記事」を書いています。
今日は、最近話題になった「ゲノム編集」について書きたいと思います。
難しい用語は一切なしで、どんな技術なのか、なぜ問題になったのか、これからどう使われていくのかなど、誰でも内容を理解できるように書きました。
大学職員の面接においても、専門的な知識を問われることは少ないですが、大学業界に関する知識や考えが求められる大学は多いですので、参考にしてみてください!
ゲノム編集とは何か?何ができるのか?
中国の科学者が、2018年11月末に「ゲノム編集技術を使って双子の赤ちゃんを誕生させた」というニュースが広がりました。
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大学でもこのニュースは大きな話題になり、「やっぱり中国は…」という非難の声も多かったです。
そもそも、ゲノム編集とはどんな技術なのでしょうか。
一言で表現すると、「人間(や動物その他)の設計図を書き換える技術」です。
人間には、遺伝子(ゲノム)というぼくたちを構成する設計図があります。
これは綺麗に配列され、またその組み合わせも決まっています。
この配列や組み合わせが違っていたり、遺伝子そのものが産まれる前から傷がついていたりすれば病気を発症するケースが多くなります。(先天性の病気など)
でも、ゲノムを書き換えるなんて、そんな高度なことができるのか?!と思う方も多いと思います。
科学の進歩はとても早く、近年開発された新たなゲノム編集の技術により、これまで難しい技術であったゲノム編集が、簡単にできるようになりました。
それにより、先天性の病気を持つ赤ちゃんへの治療や、遺伝的な難病の治療に役立てられるのではないかと科学者たちは日々研究を続けています。
なぜ問題になったのか?
そんなすごい技術ならどんどん研究して治療などに役立てれば良いじゃないか、という声も世間では多いですが、このゲノム編集の技術はまだまだ未確立(安全性が確認されていない)技術です。
簡単になったとは言え、「設計図を書き換える」ほどの威力をもつ技術です。
人間に使う前の「本当にこの技術は大丈夫なのか?」という検証が終わっていないので、まだ人間には応用できません。
また、ゲノム編集は、産まれる前の胎児に使うと、例えば芸術センスが高い子にしたい、双子にしたい、目の色を青くしたいなど「デザイナーベビー」(赤ちゃんの外見や知能のアレンジ)への利用が懸念されるなど、倫理的な課題も多く存在します。
ですので、世界中の研究者が約束を交わしました。
「ゲノム編集は人間には応用しないこと」
日本でももちろんこのルールに則り研究が進められています。
ですが、このルールを破ってしまったのが先の中国の研究者です。
中国の研究者は、ゲノム編集の技術を使って、エイズウイルスに感染した親から産まれた双子の赤ちゃんの遺伝子を改変し、エイズを発病しないように施した、と発表しました。
どこまで正確な話かはわかりませんが、この発表に対して世界中の科学者が「非難」の声明を出しました。中国政府も非難しています。
双子の赤ちゃんの状態が気になりますが、未確立の技術をいきなり人間でテストすることはやってはならないことです。仮に成功に終わったとしても、課題が色々と残りそうです。
科学の進歩は望むべきなのですが、社会の秩序そのものを変えてしまうこともあります。
科学というのはどこまで必要なのか、日々考えさせられます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。