大学職員に求められる”調整力”とは?民間企業の調整とは一味違うってホント?

30歳で私大職員に転職したkenseeです。

このブログでは、私大職員への転職を考えている方に向けた「転職のノウハウ」や「転職までの準」などについて、ぼくの実体験をありのままに書いています。

このブログを始めたきっかけは、大学職員への転職情報が全然ない中でもぼくと同じように大学職員への転職に挑戦される方への情報提供やサポートができればと考えたからです。

実際、ブログをはじめてもうすぐ1年になりますが、多くの方からご質問やご相談をいただきました。

今日はその中からご相談が多かった項目について記事を書きたいと思います。

「社会人経験で得た「調整力」を活かして大学職員に転職したい。どのような仕事に向いているか?」

民間経験のある方は「調整力」を自身の強みとして挙げられる方が多いと思います。

民間企業ではたくさんの調整業務があり、またその内容もとても骨の折れる仕事が多いことから、こうした経験を「調整力」としてPRされたい方が多いのは理解できます。

ただ、1点注意が必要です。

民間企業でいう「調整力」と大学職員の「調整力」は内容が少し異なること

この記事では、大学職員の「調整力」とはどのような能力を指すのかどのようなPRをすれば効果的なのか等について、自身の業務でもある産学連携の仕事にスポットをあてながら詳しく書いていきたいと思います。

なお、「調整力」と同じくぼくは大学職員の中途採用に求められる能力として「提案力」が必要だと感じています。

   ▶︎「提案力」がなぜ中途採用に求められるのか?

中途採用に求められる「提案力」〜大学職員に必要な提案力とは?〜

 

 

 

大学職員の調整力とは誰と誰の調整か〜産学連携を例に〜


まず大学職員の転職で前職での「調整力」をPRする場合、大前提として、大学は「誰と」連携し、「どのような調整」をするのかを知っておく必要があります。

「誰と」については、正直言って「誰とでも」連携します。(答えになってませんが…)

産学連携で言えば、昔は企業と大学の2者間での連携が多かったようですが、最近は大学も「産官学連携」と言うように「官」を間に入れたりします。面倒なのでここでは産学連携と言いますが、大学のホームページを見ると産官学連携と書いてあるページは多いです。

官とは、官公庁の官なのですが、主に省庁(文科省や厚労省など研究費を持っているところ)や自治体(連携事業や公的資金もある)を指します。

また、近年特に増えてきているのが、「社会連携」と言われる連携です。

企業と大学と官だけではなく、社会つまり住民であったり、国境を超えた国際連携までありとあらゆる連携をボーダーレスで考えていくという時代になってきました。

実際に、大学での研究を企業が実用化する場合、実証実験では住民のテストマーケティングが必要ですし、海外展開では現地との調整も必要です。

ぼくも実際の業務で共同研究から発展した企業間の連携で、住民を巻き込んだ実証実験の調整を教員と行いました。

まず、大学と企業で、実証実験を行う自治体に協力要請を行います。

これは事務的な調整からはじまり、最終的には大学・企業・自治体の三者のトップでの共同記者会見まで行いました。大学の調整事務はぼくが下調整を含めて全て行いました。

次に、教員も参加し、住民への実証実験に関する説明会を行いました。

どのような実証実験か、人体に影響がない等安全性がきちんと担保されている実験かなどあらゆる説明を尽くし、参加者である住民に理解してもらいます。

最終的に、実証実験に参加する人を募集し、参加者登録を行います。

こうした事務も大学職員が行います。個人情報も扱うので、注意が必要です。

さらに実証が終わり、結果を自治体や住民にフィードバックしたり、実証実験を踏まえて製品のプロトコルを変更したりと様々なステップを踏み、ようやく事業化(製品化)に至ります。

事業化が見えてきた段階から、知的財産や契約関係(売れた場合は売上の◯%を大学にバックしてねとか)の調整が入ってきます。

法務部門の職員や弁護士などとも相談していきます。

ここまで説明して、何となくお気付きの方も多いかもしれませんが、

大学職員でいう「調整力」はいかに丁寧に”裏方業務”を正確に行うことができるか ということです。

民間企業では自ら議論をリードして、案件を調整したりすることが多いと思いますが、大学職員はどちらかというと「裏方業務」を丁寧にこなしていく、その過程においての調整力が必要と言えます。

もちろん、議論をリードしていく力もある一定は必要ですが、大学はとにかく調整するところが多岐に渡ります。

また、こうした民間企業でいうグイグイ引っ張って案件を調整する役割を持った専門職が産学連携には配置されている(URAというスペシャリスト)ので、あまり前に出すぎるとバッティングしてしまうこともあります。

 

 

民間企業での「調整力」を大学職員のPRに活かすには


裏方業務は面倒だ/細かい、などマイナスイメージも持たれる方も多いと思いますが、ぼくはかなり前向きな仕事も意外と多いなと思っています。

実証実験の調整など、確かに細かいことが多いですが、ひとつひとつの課題を丁寧にクリアすることで、間違いなく一歩ずつ仕事が前に進みます。

企業や自治体との関係はもちろん、教員との関係もこうした業務を通じて構築できました。(教員との付き合い方を学べた良い経験…笑)

ただ、現状での課題を1つ挙げるとするならば、産学連携とは、個人対個人、属人的な付き合いで成り立っている事が多いと思っています。

例えば、教員の知り合いの自治体関係者に声をかけて実証実験の協力をしてもらう、A先生の研究を事業化したいのだがどこか良い企業はないかと知り合いの関係企業に聞く、などとどうしても「個人的な知り合い頼り」になってしまっています

そのためのURAが協力先を発掘してくるべきなのですが、本学はまだそこに至っていません。

組織的な産学連携で現在最も取組が進んでいるのは国立ですが京都大学だと思います。

 

上の図の出所は日経新聞電子版の記事ですが、この起業家(企業)と研究者の間に立つのが大学職員ですよね。

出口がすべてスタートアップの創業という訳ではありませんが、大学職員から見ると、産学連携には様々な切り口での支援や関わりがあります。

こうした関わりには一定のノウハウが必要であったりします。

また調整内容が多岐にわたるので、一人では解決不可能な課題が出てきたりします。

その結果、今まで調整を担ってきた担当者が人事異動などで変わってしまうと急にプロジェクトが立ち行かなくなるケースが多々あります。

そのため、特に産学連携ではこうしたノウハウの蓄積や関係者との信頼づくりを「チームワーク・組織力」で進めていくべきだと考えています。

つまり、大学職員の調整力とは、裏方業務の丁寧さや正確さはもちろん、例えば産学連携に関していえば、「組織対組織」の連携がスムーズにできるような「調整力」が求められていると思っています。

こうした組織をまとめる力や経験は、民間経験のある方であれば同じような経験をされたことがあるのではないでしょうか。

産学連携の分野に限らずですが、こうした「調整力」が大学職員には求めらていると思います。

 

参考になれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です