「転職組・中途採用に求められるのは”提案力”」というのは至るところで言われていますね。
大学職員も同様です。中途採用は即戦力として期待されています。
これまでの経験をどう大学に還元し活躍してくれるのかが選考では見られていると考えましょう。
即戦力とはつまり何らかの「提案力」を意味するところが大きいです。
ただ、一言に「提案力」といっても様々な観点でのPRができると思います。
ご自身の経験をどのように「提案力」というPRにつなげていくかは、10人いれば10通りのPRができるのではないでしょうか。
この記事では、「大学職員に求められる(必要な)提案力」について書いてみました。
民間企業などで勤務されている中でのご経験・得たことを、具体的にどのような提案力としてPRすれば良いのか、効果的なテーマは何かなど、ぼく自身の事例とも重ねながら書いてみたいと思います。
特に転職組・中途採用の方のご経験を活かしやすい産学連携での業務を参考にしています。
「大学の課題」は何か?という質問に対して答えを持つこと
(出典:日本高等教育評価機構創立10周年記念シンポジウム講演 学校法人二松学舎 水戸理事長ご講演資料より)
こちらのスライドをご覧ください。
こちらは上記シンポジウムにおいて、学校法二松学舎の水戸理事長が「私立大学の戦略的経営を考える」というご講演の中で用いられた資料を抜粋させて頂きました。
これからの大学経営・大学運営がスッキリわかる大変まとまったスライドです。
大学が抱える構造的な「課題」が企業経営と対比される形でまとまっています。
大学が抱える構造的な課題をクリアするためには、一番右欄に記載されているようなチャレンジングな挑戦が大学には求めらています。
なお、この右欄で書かれていることは全て未来のことでもなく、近い将来実現あるいは既に実施されているものもあります。
大学職員の面接でも「大学の課題は何か?それをどのように解決するべきか?」という質問は、頻繁に聞かれます。
「課題への解決策」をしっかり言えることができれば、それはつまり明確な「提案」です。
提案力のPRには「大学の課題」を分析し、答えを持っておくことで可能です。
「オープンイノベーション」が大学を変える?
上記スライドにおいてもうひとつ。
「関連会社の有効活用」という項目が、今後の大学運営の財務面でメリットを果たすと記載されています。
みなさんは大学の「関連会社」をご存知でしょうか。
一番有名なのは「生協(生活協同組合)」でしょうか。
実はこれ以外にもたくさんあります。
大学によりますが、例えば、校舎の管理、契約発注業務、図書館事業、学内システム管理などを行う大学関連の子会社(民間企業)を「関連会社」と言ったりします。
いわゆる「2018年問題」が大学の経営を直撃することはよく知られています。私立大学は、運営費の9割を授業料収入で賄っている大学もあり、一層深刻です。
つまり、「「授業料」以外の収入源をできるだけ多く確保したい」というのが私立大学のホンネです。
国立大学自身も法人化により「稼ぐ」ことが必要になってきました。
法改正により従来はできなかった「事業会社」を国立大学が設置運営できるようになりました。
これにより、コンサルティング等の国立大の知恵を活かした事業展開が進められようとしています。
その点、私立大学は事業会社を含めた柔軟な学校運営がこれまでから進められています。
例えば、上記であげた管理業務などを行っている法人としては、
「株式会社クレオテック」(立命館大学の子会社)
「株式会社慶應学術事業会」(慶応大学の子会社)
などがあります。
が、ここで課題が!
せっかく事業会社があってもほとんどの大学が管理業務の「アウトソーシング」のみに留まっているのです。
大学にももちろん産学連携など外部連携部署はありますが、コンサルや営業などまで抱えることは現実的ではありません。むしろ外部の事業会社を巻き込むべきだとぼくは考えています。
これからの時代に必要なのは大学の「稼ぐ力」をパワーアップさせることですが、その最たるものとして「大学の研究成果、知見の活用」が求められています。
大学において「オープンイノベーション」が今改めて注目されているのは、このような稼ぐ力の創出には、卓越した独自技術や新たな付加価値の創出が必要だからです。
「新たな付加価値を創出する観点で事業会社をもっと有効的に利用する方法はないか」
これはぼくが実際の選考で、大学の課題に対して答えていたことです。
実際に事例もあります。
早稲田大学では、「株式会社早稲田大学アカデミックソリューション」という事業会社を運営しています。
マーケティングや社会連携・産学連携などを担い、「大学の教育・研究成果を広く社会に繋ぎ、還元する教育プログラムの提供や大学発ベンチャーの事業化支援、研究成果の社会実装に貢献」しています。
こうした「オープンイノベーション・産学連携での研究成果の事業化支援に特化した事業会社」がもっと多くの大学に出来たらいいのではないか
というのが、当時のぼくの「提案」でした。
(産学連携をアウトソースするのではなく事業化支援のPRをする。最終的には大学に研究費が入らないと儲けられないので笑)
民間企業での経験は外部連携にこそ最も活かせる
産学連携での事業化については、最も難しい(抵抗感のある)のが、
「連携先を見つけてくること」です。
いくらオープンイノベーションで、技術連携を進めるのは良いことだと言っても、基本的に研究者は、自らオープンイノベーションに積極的な人ばかりではなく、逆に後ろ向きの人の方が多いです。
(ある統計によると各大学では3分の1程度しか外部連携に積極的な研究者はいないそう)
つまり、事業会社の存在意義としては、コンサルやPR事業を通じて、産業と大学の間に立ってその仲介役をすることだと思います。
そこでは、産業側のニーズ把握やコネクションなど、まさに「即戦力」が必要です。
また、(若干)後ろ向きな研究者を説得したり、外部企業への売り込み・営業は、まさに民間企業などでの経験が活かせる分野・仕事ですし、「即戦力」が必要です。
ぼくも前職ではこのような仕事も経験し、面接でPRしたためか、まさにこの産学連携の仲介役の仕事を現在はさせてもらっています。
このような「転職組・民間経験者」にしか出来ない・向いている仕事も大学には産学連携以外でも多々あります。
こうした仕事で自身のPRに繋げていきましょう!
長くなってしまい申し訳ございません。。。
自分自身の例を参考に、「大学職員の提案力」についての考え方について書きました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。