現在は、日本でも「AIブーム」が巻き起こっています。
医療現場での診断や、製造ものづくり現場での作業工程などありとあらゆる作業がAIに置き換わる時代がすぐそばに迫っています。
英オックスフォード大のマイケル・オズボーン准教授と野村総研の研究によると、
日本でも約600の職種が「AIにより代替可能」との驚くべき調査結果が発表され話題になりました。
もちろん、、、事務職員の仕事も代替可能リストに入っています(汗)
(詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。)
「えっ?ぼくたち大学職員の未来はどうなるの?」
「せっかく苦労して私大職員に転職したのにAIに仕事が取られるの?」
ぼくも大学職員の面接で「人工知能に置き換わらない仕事は?」という内容の質問を受けた大学も実際にありました。
大学(で働く上層部)としても、人工知能は、「有能な武器」であり「自分の仕事を取って代わる脅威」ととらえているのだと思います。(末端職員には全然わかりません)
この記事では、なぜこれまでAIが叫ばれているのか、本当にAIは大学事務職員の仕事を代替できるのか、探っていきたいと思います。
最初に結論をお伝えすると
大学事務にAI導入は避けられない。でも職員の仕事を奪うのはもっともっと先
だとぼくは考えています。その理由をこれから説明していきます。
AIは何かできるのか。なぜここまでブームなのか
現在の社会は、第三次人工知能ブームであると言われています。
これまで、人工知能ブームは世界で過去に2度ありました。
第一次は、1960年代です。「人工知能」という言葉が初めて登場しました。
コンピューターによる「推論」や「探索」が可能となりましたが、ここでは「あるひとつの事」しか扱うことができず、複雑な問題がからみあう現代社会では通用しないと言われ、すぐにブームが去りました。
第二次は、1980年代です。ぼくが産まれた頃ですね。「知識」をコンピューターに与えてあげると、専門的なエキスパートレベルの処理をこなすことができるようになりました。
しかし、知識を与えるという人の手が介在することと、与える知識が結局は人間に依存してしまうという点であまり広がりませんでした。
第三次は、2000年頃から現在まで続いています。これまでと何が違うか。
簡単に言うと、「コンピューターが勝手に情報を蓄積(学習)し、学習したデータの特徴を勝手に理解して、予測できる」ところまできたことです。
これまでの単なる電子化ではなく、システム自ら考え、学習し、最適な“提案”をしてくれることがこれまでの人工知能とは全く違うところでしょう。
これは、創造的な知的業務や、職人技など複雑繊細な手作業などをすることも可能で、こうしたことから、「人間にとって代わる」という心配?が巻き起こっています。
⭐️人工知能ブームについて詳しく知りたい方は総務省の資料をご覧ください。
具体的な事例 AIが取って代わる業務
では、大学の事務では具体的にどんな仕事がAIで代替可能なのでしょうか。
いくつか例を見ていきたいと思います。
定型化したルーチンワーク
これは完全に代替できそうです。いわゆる通常業務という当たり前にする作業ですが、人がやらずともAIがやれば効率化できそうです。
メールチェックや、出張手続き、経費の精算、確定申告など、大学事務の仕事もAIに任せられるものもありますね。
窓口業務
一見、「臨機応変な対応が必要なのでは?」と考えそうになりますが、
AIは対応ノウハウが蓄積できれば、それをデータ化し、自ら学習し応対できるので、学生や教員、外部企業との窓口業務も実はAIでも行える可能性は十分あります。
経理や資金管理業務
数字処理はAIが最も得意とする仕事です。
決まった数値計算や、定例的な決算書作成など、経理や資金管理業務もAIが行えるでしょう。
近畿大学がAI導入
日本では全国に先駆けて、関西にある近畿大学がAI導入を決めました。
(近大は何でも先進的ですねー。日本初らしいです)
「人事や財務、物品調達などの業務を別システムで処理していたが、これらを統合して効率化する」ことが目的のよう。
やがてこれらのシステム効率化から、普段職員が担っている業務への導入も広がっていくのでしょう。
結論 AIは大学事務に導入できるが、職員の仕事に取って代わるのはまだまだ先
世間やメディアは、「AIが事務の仕事を取って代わるのでは」と煽りますが、
ぼくは「そんな世界はまだまだ先」だと断言します。
なぜか。
これまで発表されてきた「AIが代替する仕事」などはあくまで技術的に「代替することができる」にすぎません。
明日から窓口業務をAIに任せられるほど、データやシステムの管理が大学内で構築できている訳でもありません。
AI導入には、相当の導入コストと意思決定が必要です。
実際の業務には、「イレギュラーな対応」が山ほど必要です。「これまでにない新しいアイデア」も必要になっています。「教員や学生とのコミュニケーション」もまだまだ必要です。
こうしたある意味人間にしかできない仕事がまだまだ事務職にも沢山あります。
AIは「敵」ではなく「味方」として、それを使いこなす技術スキルが今のぼくたちには求められているのではないでしょうか。
大学は、学生にとってこうした社会に出て必要となる”スキル”をどう学ぶ場所であるべきかをしっかり考える必要があります。
大学職員を目指されている方にも、次の10年20年後の「AI時代到来の大学職員像」を持っておく必要があるのではないかと思います。