大学図書館の必要性。大学図書館が果たす役割とは

大学職員の面接やグループディスカッションでは「大学のことを知っているか?」といった観点で質問がきます。

大学が今置かれている現状や、抱えている課題など、「大学業界ネタ」に対応するには「業界分析」が重要です。

ただ、大学の業界分析と言われても…どこに大学業界の情報が載ってるのか、どのような情報を探っておく必要があるのか、正直分かりませんよね。

この記事では、大学職員の面接でぼくが実際に何度か聞かれた「業界ネタ」に絞って、
業界ネタの分析と求められている観点について、わかりやすく解説したいと思います。

第一弾は、「大学図書館」についてです。

いくつかシリーズで更新予定ですので、
「とにかく調べる時間がない!」という方は、この「業界ネタ」関連記事をご覧いただければ対応できますよ!

なお、この業界ネタの調べ方や実際の受け答えには、転職エージェントに情報をもらい、準備をしました

転職エージェント活用のメリットなどはこちらの記事をご覧ください。

 

 

なぜ必要なのか?大学図書館のミッションについて


大学の機能は、大きく「教育」「研究」「社会貢献」の3つがあります。
(実は教育基本法とか学校教育法にも明記されている)

この3つの機能に、「図書資料・学術情報」「空間」「職員」というリソースを使って貢献しているのが大学図書館です。

例えば、「教育」への貢献としては、
・教育・学習用図書を置いて学生や教員が調べ物をする際に活用してもらう
・24時間運営など、近年の様々な学生ニーズに合わせた学習空間を提供
・情報の取り扱い方を教育する役割
を担っています。

また、「研究」については、
・電子ジャーナル、データベースを整備して安定的に運用
・研究成果の発信
などを行なっています。

最後に、「社会貢献」です。
大学は地域に開かれた教育拠点として
・所蔵資料を展示して市民へ公開
・地域の利用も歓迎
しています。(あまり普段、地域の方が大学の図書館を利用することは少ないですが)

最近では、従来の「図書館」の概念にとらわれず、
学生の学ぶ意欲を高める仕掛けが施された図書館整備が増えてきました。

⭐️早稲田大学 所沢図書館ラーニングコモンズ
 ・プレゼンテーションエリアやグループ学習エリアを整備。
  「学生が一人で黙々と勉強」する図書館イメージを刷新
 ・リラックスエリアもあり、勉強のひと息つく人も気兼ねなく使える

 

大学図書館の現状


文科省の調査(大学図書館実態調査結果報告)によると、
大学図書館の職員数は1990年に全国の大学で11,708人いたのが、2013年では、11,114人になっています。

「あれ?ほとんど変わっていない?」

総数としてはあまり変わっていません。

しかし大きく変わったことがあります。

それは、臨時職員と専任職員の比率です。

実は、図書館運営に関わる職員は、1990年は70%が専任職員でしたが、2013年には48%まで減少しました。おまけに、臨時と専任の比率が逆転してしまっています。

図書館は臨時職員(つまり任期付職員)が半数以上で運営されており、図書に関する専門的知見や学術情報の蓄積という面で非常に危惧されています。

また、1大学あたりにおける年間の購入図書数については、

1990年に12,000冊ほど購入していましたが、2013年には5,800冊ほどと半分以下となってしまっています。

特に、洋書の購入が激減しています。
これは、海外の学術誌価格が年々上昇傾向(化学系で9.1%、物理系で7.4%上昇)であるため、価格的な要因も考えられます。
また書籍の「電子化」が進んでいることも一つの要因でしょう。

いずれにしても、専門人材も図書も少なくなってきている中で、図書館の役割を果たしていくためには
⭐️大学図書館が利用者ニーズに合ったコンテンツを提供できているか
⭐️図書の重点化(研究なのか教育なのか、大学特有の研究分野など)
をしっかり検討していく必要があります。

 

大学図書館の必要性 委託ではダメなのか


ここまで図書館不要論が巻き起こってきたのは、ひとつのムーブメントがあります。
それは、

図書館運営は「委託」したらいいのでは

という考えです。

文科省の調査(大学図書館実態調査結果報告)によると、
図書館運営を「全面委託」した大学は、2005年には9大学でしたが、2013年にはなんと92大学が全面的に委託しています。(10年経たずに10倍です・・・)

全面的以外ではどのような業務を委託しているかを詳しく見てみると、
「受付」「閲覧対応」「目録作成」など多岐にわたっています。

ここで、図書館運営の委託について考えてみると、

確かに、委託など外部ソースの導入は、現状の人件費コストの削減に大きく寄与していると考えられます。
しかし、大学図書館が本来担うべき、「図書資料・学術情報」「空間」「職員」というリソースを使って教育に貢献するという目的は本当に果たされるのでしょうか。

将来的な専門技能・経験の継承など、学術情報を支える大学図書館の長期的な観点からの検討が必要だと思います。

 

大学図書館に求められること


大学図書館が、次代の学術教育の拠点となるためには

⭐️ 図書館員と研究者の新たな関係の構築
⭐️ 大学図書館は研究者のパートナーとしての学術情報、データの側面支援
⭐️ 学生が利用するにあたっての付加価値づくり

を進めるべきではないかと、ぼくは考えています。

 

いかがでしたか。

大学図書館について少しでも参考になれば嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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