【大学時報より】私立大学の事務業務改革!中途採用に求める「大学改革」を理解しておこう

30歳で私大職員に転職した@kenseeです。

このブログでは、私大職員への転職を考えている方に向けた「転職のノウハウ」や「転職までの準備」などについて、ぼくの実体験をありのままに書いています。

今日は、業界のお話について書きたいと思います。

大学時報9月号でも取り上げられていますが、「大学職員の業務改革」についての考察です。

大学職員の面接においても「改革」というテーマの質問はよく飛んできます。

なぜなら少子化が進行中の日本において、大学こそ「自ら変革しなければ大学の未来はない」と考えているためです。

特に中途採用の方への質問に多いようですが、例えばぼくが実際に受けた質問で、

「事務職員として本学をどのように改革していきたいですか?」

「AIやIoTなどデジタル技術の進歩により大学事務職はこれらにとって代わられる存在だとも言われていますが、逆にこれらを使いこなすことで職員としてどのような改革ができますか?」

「昨今の大学改革についてあなたの考えは?」

などがありました。

大学職員は、単純事務作業の仕事ではなく、業務は多岐に渡りますし、量も増えて質的にも複雑化しています。

これら大学が置かれている課題に対応できる「人材」が求められている訳ですが、そこでポイントになるのは「大学を改革」できる人材であるかどうかでしょう。

18歳人口の減少、国際化、グローバル化、収入源確保など、大学には様々な課題に対応する仕事がある一方で、学生や教員の教育環境の改善、大学の特色や教育戦略の推進など、しっかり前に進めていくべき仕事もあるので、こうした大学の「改革」特に僕たち大学職員ができる「事務改革」について、大学時報の特集も参考に事例を解説していきたいと思います。

残念ながら「大学そのもの」を変革することは事務職員にはできませんが、大学組織での事務改革を大学職員として率先すること、そうした改革ができる人材であると面接でアピールするために、「大学の改革とは何か?」をしっかり考えて、面接でも自分自身の意見としての「大学事務改革」を言えるようにしておきましょう。

それではスタートです。

 

 

 

 

大学職員の在宅勤務


改革というと、昨今の「働き方改革」がありますね。

大学職員においての働き方改革のひとつとして、在宅勤務(テレワーク)を導入している大学も少なくありません。

本学でも導入されていますが、一方で取得している職員はあまり多くありません

民間企業であればもう少し普及していると思いますが、大学においてのテレワークはなかなか導入が進んでいないと思います。

なぜ大学において在宅勤務が進まないのでしょうか?

上智大学の例を参考に見てきます。

現時点において在宅勤務が可能な業務としては、資料作成、データの加工修正、分析、企画提案業務などが挙げられる。これらは、在宅であれば静かな環境の下で集中して行うことができ、業務効率の向上にも資する。また、将来的に在宅勤務の可能性がある業務としては、稟議、供覧、諸申請などがあるが、これらは電子決裁の仕組みが整うことが条件である。さらに、ICTツールの整備によって、会議や打ち合わせ、対外的な調整、対面応対業務なども可能になると考えている (大学時報9月号より)

ということですが、言い換えれば、「資料作成」「データ整理」など自分でコツコツやる仕事でないと在宅ワークは難しいということです。

大学には単純事務作業の仕事ばかりではなく、むしろ内部調整や、企業や他大学など外部などとの対外的な調整業務も多く、こうした点から、在宅勤務が広がらないひとつの理由になっています。

テレビ会議システムなどの導入がもっと進めばあり得るかもしれませんが、大学においてICT導入が進んでいるとは言えない状況であるため課題が多いです。

▶︎大学において在宅勤務が進まない、ICT導入が進まない=変革の余地がある!

 

 

窓口時間の短縮は悪か


教務(教学)部門の窓口は、学生からのイレギュラーな相談や問い合わせなど、柔軟で(かつ忍耐強い…)対応力が必要となる業務ですが、他者からの相談という点においてかなり他律的な仕事なので、業務改善がなかなか進めにくいと言われています。

多くの大学は17時頃まで窓口を開けていますが、終了時間ギリギリに相談に来る学生もいるので、ほぼ残業が発生してしまうということになります。

同じく上智大学では、窓口時間を短縮しようという取り組みを進めました。

窓口時間の短縮が仕事に前向きに取り組む姿勢を醸成し、政策の立案と実現、専任職員の本来業務への集中などに資するものであり、結果的に、学生サービスの質の向上や、より良い教育環境の整備につながると判断し、窓口時間を短縮することとした

「学生が窓口に来なくても、基本的なことは確認 できるようなQ&Aをウェブ上に公開するなど、学生にとって利便性が高められるような取り組みも進めていきたい」など、新たな学生サービスの可能性も検討されている。(大学時報9月号より)

窓口時間を短くして、本来の職員が時間を費やすべき学生支援の企画や、個々の学生に応じた対応などが可能となる素晴らしい成果が出ているようです。

また、「そもそも窓口に相談に来なくてもいい」システムを作ったり、マニュアル化などの提案も様々な大学でも応用ができると思います。

こうした点は、「改革」の第一歩として非常に参考になる話だと思います。

▶︎窓口業務を思い切って短縮してみる=業務改善による時間の有効活用により真に必要な学生支援サービスに重点的に時間を使える!業務時間改善改革

 

 

大学職員のICT活用は可能?


大学はまだまだ「紙文化」です。

委員会はもちろん、スタッフ職の会議でもやはり「紙」の資料が配られます。

パソコンスキルもない職員(特に高齢になるほど)も結構多いです。

そんな大学でICTの活用は無理なのでしょうか?

大学のICT活用といえば近畿大学ですが、事例を見ていきます。

【学生側の支援】

まず、2014年度入試から紙の願書を廃止し、完全にインターネットによる出願に移行した。2013年度 入試では、紙の願書を約13万部用意した。重量にすると 約100トンである。これらの紙の廃止により、地球環 境保護に多大な貢献ができるとともに、志願者の手間は減り、加えて、われわれ職員が手作業で行っていた願書の開封作業などもなくなった結果、大きな業務改革につながった

2016年4月には日本初のVisaプリペイド機能 付きの学生証を発行し、2017年には日本の大学で初 めて入学金 授業料のクレジットカード決済を開始した。 学生は、学内の売店を初め、200以上の国や地域にあ るVisa加盟店の支払いやインターネット決済も利用 できるようになった。

2016年6月には、日本最大級のクラウドファンディ ング(起業家などがインターネットを通して不特定多数から資金を募るシステム)を運営する株式会社CAMPFIREと、日本の大学として初めて協定を結んだ。そこで調達した研究資金で、健康機能を強化した「近大ハニー」というハチミツを作るために蜂の巣箱を購入し、 絶滅の危機に瀕する和歌山の〝アカジソ〟を使った商品開発を行った。

また、同年には卒業証明書や成績証明書などの各種証 明書を全国のコンビニエンスストアの複合機で印刷発行できる日本初のサービスも開始した。在学生卒業生の利便性向上はもちろん、これまで大学の窓口で行っていた証明書の発行郵送業務が減り、職員の業務負担が大幅に軽減された

また、2017年4月にオープンした学術拠点「アカデミックシアター」内に設置された 時間利用可能な自 習室の座席をスマートフォンから予約できるサービスや、 時間割や休講情報などを手軽に確認できる教務システム(UNIPA)の公式スマホアプリを日本で初めて導入し、学生の利便性を大きく向上させた。(大学時報9月号より

どうでしょう。

民間企業で勤務している人からすれば、「え?こんなこと未だに人が手作業でやってるの?」といったことも大学では多々あります

特に印象的なのが受験の願書ですよね。

普通に考えれば、紙で出すほうがコストもかかるし、大学側の処理コストも必要になり誰も得をしませんが、残念ながらまだまだ紙の願書はありますよね。

そうした「なぜ?」が言える人材が大学には必要です

 

【教職員側の支援】

大学教職員は民間企業以上に年々忙しくなっているように見える。それもそのはず、民間企業から大学業界に入って、驚くべき非効率を目の当たりにしたのである。
 ー稟議書が紙で回されている
 ー学内の案内文書を紙で回覧
 ー物品や部屋の借用を紙で申請
 ー学内アドレス帳がない
 ーアンケートを紙で配布
 ー電話・会議至上主義

これらは氷山の一角であったが、以下のサービスを積極的に活用した結果、現在の近畿大学は数年前とは様相を異にしている。

 ー決裁の電子化(Webワーク フロー) 
 ーグループウェアの活用(スケジュール、ファイル共有など)
 ーWebアンケート作成ツール
 ーSlack(メッセージサービス)
 ーV―CUBE(Webテレビ 会議システム)

汎用的な業務においては、各種Webサービスやアプリケーションを活用することによって大幅な業務効率化を実現することができた。(大学時報9月号より)

同じく教職員のICT環境も、正直このレベルかと感じる方も多いかもしれません。

その通り、このレベルです。

つまり、大学事務改革を行う人材は、このあたりの話ができればしっかりPRになるということです。

 

 

事務改革を行うために


大学事務改革は決して自分ひとり、または大学職員だけではできません

「チームとしてどうするべきか」

「教員を巻き込むにはどうすべきか」

というステークホルダーを巻き込んで物事を進める視点や考え方は非常に重要です。

この点をしっかりと頭の中に置いた上で、ご自身の「大学事務改革」について話ができるようにしておきましょう。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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